派遣看護師の働き方の仕組みや給料について
今回は給料高め?の派遣看護師についてまとめてみました。
特に看護師の給料が安い県では、派遣看護師の給料は高めに設定されるようです。
目次
1. 派遣看護師とは
派遣看護師って何?どんなふうに働くの?と思っている人が多いと思います。今回は派遣看護師について書いてみたいと思います。
我々は直接、病院や施設等に雇用されることが多いですが、それらの直接雇用とは違い、派遣会社を利用して働く派遣看護師という働き方があります。もちろんそこにはメリットやデメリットが存在します。今回はメリットやデメリット、そして何より気になる給料について書きたいと思います。
派遣看護師とは、『派遣会社から医療機関などの派遣先で業務を行う看護師』を指します。
看護師業務行うので正社員の看護師と仕事内容に大きな違いはありません。
ただ、日勤・夜勤のリーダー業務をしない病院も多いです。
2.派遣看護師の特徴
①看護師として働くわけですから正社員やパートとほとんど仕事内容は同じです。
②自分のペースで勤務できる。
③紹介予定派遣型は、将来的に正社員に成れる可能性があります。
3.派遣看護師の契約
① 派遣会社と契約する
派遣看護師は派遣会社に登録して派遣会社と雇用契約を結びます。病院等で正社員やパートで働く場合は勤務先の病院や施設と直接雇用契約を結び社会保険なども雇用先で加入します。ここが大きな違いです。
その後に実際に働く病院や施設等の派遣先の紹介を派遣会社から受けることになります。給与の交渉や社会保険などの手続きは、派遣先ではなく派遣元である派遣会社が全て行ってくれます。
加入する保険や給与の支払い元などは異なりますが、同じ看護業務ですので、正社員やパートで勤務する看護師と派遣型の看護師の仕事内容はほとんど同じです。
ただ介護施設(特別養護老人ホーム等)では正社員の看護師はオンコール対応(自宅等で患者様の急変の備え待機。電話を待つ。)がありますが、介護施設によっては派遣看護師オンコールが無いところもあるようです。老人保健施設は夜勤の看護師がいるので基本、オンコールはない所が多いと思います。
4.派遣看護師の働き方
大きく分けると3通りです。
派遣看護師として希望する働き方や働く場所について検討することが重要です。
① 登録型派遣:派遣会社に登録して紹介された派遣先で就労する働き方。
派遣会社から仕事の紹介を受け雇用契約を結ぶのが一般的です。登録後に派遣先の情報を受け取ることになります。
基本的に派遣期間が定められており、契約が満了したら終了となります。もちろん延長されるケースもあります。
登録型派遣は、最も一般的な派遣としての働き方だと思います。フルタイムや短期間など、自由に働ける点がメリットです。
また、登録型の一般派遣に1日ごとの契約である日雇い派遣もあります。日雇い派遣は、自分の都合により働くことが可能です。
② 常用型派遣:まずは派遣会社の社員として雇用されます。その後、病院や施設等に派遣されます。
登録型派遣の場合は、契約期間が終わると仕事も終了となりますが、常用型派遣の方は「元々派遣会社の社員」なので、派遣先での雇用期間が満了しても派遣会社との雇用関係は継続されます。ここが登録型との大きな違いです。
メリットとしては次の派遣先は決まらないとしても、決まるまで給与が支払われ続ける点です。これは経済的には助かります。
最近は知識と経験がある人を雇用し、常用型派遣を行う派遣会社も多くなっているようです。
③ 紹介予定派遣:派遣先で「半年以内に契約社員や正社員などに雇用を切り替えること」を前提とした派遣です。
派遣される側も「半年後は派遣先に直接雇用」が前提で正社員を目指す人にはうってつけです。
とはいえ必ず直接雇用されなければならないというわけでもありません。ただ実際に仕事をして「自分に合っているか」を判断した上で決断できるのは大きなメリットだと思います。
5.派遣先ごとの仕事内容
① 病院や診療所などの医療機関
病院や診療所などへの派遣は、正社員の看護師が産前産後休業や育児休業や介護休業などで休んでいる間の代わりや一時的な人員不足として働くケースが多いです。期間限定の短い時間で気軽に働けますが1~2年程度で契約が終了するので注意が必要です。
(離島や僻地などで派遣看護師として働く場合は、厚生労働省に指定されている地域のみに限られる。)
② 介護老人保健施設
病院と自宅の中間施設であり、病院を退院後、リハビリを行い、在宅復帰を目指す施設です。入所や通所リハビリ、ショートスティ等がある介護保険施設です。リハビリだけでなく医療や介護を提供しています。医師もいるのですが病院と比べれば医療処置は少なめで服薬管理、健康管理、食事・排泄・入浴介助等の介護業務が多くなると思います。自宅での療養生活を目標として、健康管理やリハビリを行う入居施設です。
健診センターや特別養護老人ホームなどは登録型派遣や常用型派遣が可能となっていることに対し、介護老人保健施設への看護師の派遣は紹介予定派遣のみという制限があります。
③ 特別養護老人ホーム
医師が常駐していないので責任は大きくなりますが、医療処置は老健よりさらに少なめだと思います。服薬管理、健康管理、食事・排泄・入浴介助等の介護業務が多くなると思います。看護師の数はかなり少なめでオンコール対応という利用者様の急変時対応する自宅待機業務があります。(オンコール手当が出ることもあります。金額は施設によりまちまちです。)介護職員に電話で指示を出したり、実際に施設に向かい対応します。また看護師が機能訓練士として機能訓練(リハビリ)を行うこともあります。
④ 献血センターや健診センターの場合
献血センターの主な業務は問診や採血などです。
献血センターや献血バスにおいて、採血や検査、献血者の観察などを行います。(夜勤が無い)しかし、採血で使用する針は一般的な点滴や病院で行う採血よりも太いG(ゲージ)を使用するので技術が必要です。
⑤ 保育園や一般企業の場合
保育園:園児の体調管理や怪我等の応急処置、薬の管理、健康診断などが主な業務になります。医療的なケアが必要な子どものお世話をすることもあります。
一般企業には保健師が務めることが多いと思います。産業保健師は社員のメンタルケア、健康診断等を行います。医務室等で薬の管理や外傷の応急処置をすることもあると思います。
地域包括ケア病棟で派遣看護師の仕事の一日の流れの一例を紹介すると、下記の通りです。会議や委員会等に出なくていいだけで、ほとんど正社員とかわりません。
時刻 仕事内容
8:30 始業 申し送り
9:00 バイタル測定
10:00 処置、検査、点滴、透析準備、おむつ交換 Dr.介助
12:00 食事介助 注入介助
13:00 休憩
14:00 バイタル測定 点滴、注入準備 検査、おむつ交換、清拭、処置、入浴介助、ラウンド
17:00 申し送り
17:30 業務終了
6.派遣看護師として働くメリット
① 給料が高い
田舎ほどその傾向が高いです。単純に年収600万程度もらうこともあるようです。都会では一般的な給料ではありますが、看護師の平均給与が低めの田舎では高めの給料になるのではないでしょうか。ただし、田舎であればあるほど派遣看護師の求人数は少なくなるとは思います。
②時給が高い
派遣看護師の時給は高く、2000円前後の時給で働けることがある。
④ 残業が少なめ
派遣看護師の場合は勤務時間が決まっていて基本的には残業はありません。仮に残業がある場合も派遣会社が残業を無くすか残業を払うように交渉してくれますので安心です。
⑤ 会議・委員会・長期研修がほとんどない
派遣看護師は即戦力として採用されることが多く、長期的に研修を受ける必要はほとんどありません。会議や委員会に参加することもほとんどありません。しかし、キャリアアップのためにも学ぶ姿勢を忘れてはならないと思います。派遣先によっては勉強会等に参加できる所はあると思います。
⑥ 派遣会社へ相談できる
派遣先でトラブルがあれば自分の所属する派遣会社に相談できます。給料や休み等も相談できます。問題があれば間に入り派遣会社がサポートします。非常に心強いと思います。
⑦ 比較的、自由に働ける
派遣看護師は日勤だけの働き方や夜勤だけの働き方を選ぶなど自分に都合のいい働き方が選べます。
また、自分の希望条件を派遣先へ伝えておくといいと思います。給料もある程度良く、そして自由に働けます。
例えば、子どもの習い事や親の通院などの関係上、特定の曜日だけ必ず休む場合なども調整が可能です。
⑧ 一か所に留まらないので人間関係のトラブルに巻き込まれにくい。
嫌なことがあっても、しばらく我慢すれば派遣期間が終わります。
7.派遣看護師のデメリット
① 基本的には紹介予定派遣以外は同じ職場で長く働き続けられない。
派遣看護師の場合は雇用期間が契約で決まっていてその期間しか働けません。
『一般的な雇用期間は3ヶ月~半年です。上限は3年までと決まっています』
同じ派遣先で働き続けたい場合は、自分で交渉して職場で直接雇用してもらわなければなりません。
紹介予定派遣を利用すれば直接雇用に切り替わるので、長く働きたいと考えている人は紹介予定派遣を利用しましょう。
② 給料が正社員より低い場合がある
派遣看護師は時給が高いですが ほとんどの場合、昇給やボーナスはありません。
そのため、正社員と仕事内容は同じであっても、給与が低くなる場合もあります。特に都会ほどそういう傾向にあるのではないでしょうか。一応、派遣先の正社員やパートの待遇等も調べ比較することをお勧めします。
ただし、令和2年4月から「同一労働同一賃金」という制度が導入され、待遇の差を改善する取り組みが始まっています。
実際に、厚生労働省のガイドラインでは賞与について【同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給をしなければならない】とあります。
待遇面の改善は進んでいると言えるのではないでしょうか。今後も派遣看護師だけでなく派遣労働者の待遇は改善していくと思います。
③福利厚生やスキルアップ補助
派遣看護師はそこの職員ではないので、交通費の支給がされない等、正社員と同じ福利厚生やスキルアップ補助が受けられない場合は多いです。もちろん最近は改善され、それらが受けられる場合もありますが、常識の範囲内で待遇に差はでると思います。(あまりにも、いきすぎた差別は違法ですが。)
このあたりは派遣先の正社員の待遇と比較してみることをお勧めします。
③ 教育面について
派遣看護師は即戦力人材です。そもそも最初からできるという条件で雇う派遣先が多く、教育面・研修面では待遇が悪いことが多いのではないかと思います。
しかし、同一労働同一賃金に関する厚生労働省のガイドラインでは、教育訓練について「同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施をしなければならない」と規定しており、改善の動きがあります。
また、2015年9月に改正された労働者派遣法において、「キャリアコンサルティングの相談窓口を設置」などのキャリア形成の支援制度が無い場合は労働者派遣事業の認可が下りないようになったようです。
今後は派遣看護師のスキルアップも進むのではないでしょうか。
④ 求人倍率が高め
医療機関への派遣は正社員看護師の産前産後・育児休暇などの間しか認められていないので、募集枠が元々、少ないです。
施設などでは看護師の需要が元々、低いです。
常勤看護師よりは求人は少ないと言えるのではないでしょうか。
8. 副業
本業とは別に夜勤のアルバイト等をしている看護師は多いと思います。おそらく一晩2万~3万くらいで夜勤をしている看護師も多いと思います。『副業でアルバイトしたい方』には派遣は合っていると思います。
短時間・日雇いで働くことも可能であり、副業しやすいと思います。副業も看護業務なのでスキルアップにつながります。今時、副業を禁止しているところはほとんどないとは思いますが、勤務先に念のため確認する必要があるとは思います。
9. まとめ
看護師は人で不足です。そのために色々な働き方が出てきています。派遣は色々な分野を経験でき幅広い分野でのスキルアップが可能ですがデメリットもありますのでよく検討してみてください。私の記事の中には看護師の需要や働き方について書いたものもありますので参考にして頂けたら幸いです。
看護師の職域や業務範囲の広さ、就職が有利な状況やその理由・将来性について ‘‘看護師の魅力を語ります‘‘
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10.転職について
スキルアップ=給与アップとはいかないのが医療の世界ではないかと思います。給与アップにはやはり転職が一番の近道ではないかと思われます。下記サイトで給与がアップして転職した方も多数、おられますので登録して相談するのもひとつの手かと思います。 自分も何度かの転職により給与を上げてきています。 派遣登録も給与アップにつながる一つの手段ではないかと思います。 給与がなかなか上がらないという方は検討しても損はないと考えます。
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